昼食作り

先日訪問した際、依頼があった味噌汁作りに行ってきた。
月に一度の出前昼食の時は汁物もストップになるので、手の空いているワーカーが何かしら用意するのだ。

自分としても久しぶりの包丁。具は豆腐とネギ。
豆腐担当は、車椅子生活が定着し最近頓に肥えてきた入居者A氏。自分はネギを刻む。
「どうやって切るんだったか忘れちゃったわー」と言いつつ、丁寧な薄切りが始まった。おいおい、高野豆腐じゃないんだから…。にしても、よくそんなに薄く切れるなぁ。
人とお喋りしながら食事を作るってのは楽しいものだって事を思い出した。小学校の調理実習みたいだ。

入れ歯を入れれば噛めるはずなんだが、「入れ歯は痛い」「私は噛めない」が浸透しちゃっててミキサー食から逃れられない入居者B氏に、「豆腐なら大丈夫だよね。ネギもみじん切りにするからさ」とアピールしてみた。
「そうね、食べられると思う。柔らかいし。」と嬉しいお言葉。
B氏はその独自の拘りにより、自分自身に水分制限も課している。やはり今も尚それは破られていないらしい。食事の汁物もほとんど残してしまう。
「せっかく久しぶりに来て作ったんだから、飲んでみてよ」攻撃をかけてみた。「そうねぇ」と笑うB氏。
わくわくしながら待ってみたんだが……。残量2/3也。
「なんだよー、美味しくなかった?」と尋ねると、「そんな事無いわ。沢山頂いちゃった。ほら、残ってないでしょ?」
まぁね、具はね、食べていただけたみたいだけどね。

A氏は、具の豆腐が自分が切ったものだという事を覚えていない。「なんだか面白い切り方の豆腐だねー」とニコニコしている。
文句が生きがいの入居者C氏が、「へったくそな切り方だよ。」とブツブツ。
「箸で摘みやすいようにしてあるんだよ。拾い易かろうが」「まぁそうだけどさ」案外気が良いのである。
「今度はCさんが上手いこと切ってよ」「イヤだよめんどくさい。あんた達の仕事でしょうが」お説御尤も。