辞書の違い

ユニット会議なるものがある。
入居者の対応を決めるのもここでやる。

んで。今回はちょっと声を大きくしてしまった事があった。

入居者A氏の夜間排泄対応について。
紙おむつにパットを使用しており、就寝後2時間、後は3時間毎に交換する事になっている。
日中より夜間に排泄量が多く、パットからオーバーフローしがち。
シーツ等への漏れを防ぐ為、ユニットリーダーがLのパットにするかMにするかを決めろと言う。
そんな事まで決める必要が有るのかとひと悶着。

不眠気味のときはトイレに誘導する事だってある。トイレでの排泄は寝たままよりも量が多いし体力も使うから次の交換まで時間を置きたい。
体調不良その他で安眠確保を優先したい時だってある。
熟睡時の排泄は少ない人だ。眠りは浅いから交換に入れば起こす事になる。
2時間だ3時間だと決める事すら今ひとつ納得がいかないのに、パットの大きさまで決められるものか。

ケアの統一だという。介助方法がバラバラだとイケナイと。
声掛けとか、手引き方法とか、確かに統一すべき事はあるさ。本人の混乱を防ぐ為とか事故を防止する為とかな。
でもこの件に関してはケア側の都合が大半を占めてる。
オーバーフローすることで臀部の状態が悪化する事に関しては陰部に吸収帯を試用すると決めた。それだけじゃ不満か?
MだろうがLだろうが、当て方でだって吸収率は変わるだろう。
そんなもんワーカー間の情報交換レベルだ。プランで固定する事じゃない。

「わかりました。Mじゃ不充分ならLでいいですよ」

「〜でいいですよ」と云う言い方が引っかかるらしく、「どうしてそう投げやりな言い方をするんだ。合意で決めたいんだよ。押し付けじゃなく」と言う。
合意も何も。
決める必然性を教えてくれと言うと「決めなきゃいけないんだ」
そこまで型に嵌める必要が有るのかと問うと「大まかでいいんだよ」
その“大まか”の程度がお互いに違うのに、合意点なんて見つかるものか。
「決めなくちゃいけなくて、大まかでいいってのはどういう意味なのか判らない」
「お前とは話にならない。それじゃぁ子供のけんかだよ。」
「お互い様でしょう」
「俺が子供だって言うのか」
「拘ってる部分が筋違いだって事だよ。貴方がどうとか云う問題じゃ無い」

両者の扱いを心得ているストッパーが出席して居なかったことも災いした。
同席しているワーカーは他に一人だけであり、契約社員。口を挟める雰囲気じゃなかったのだろう。
時間が無いってのにあんまりにも拘り、延々続きそうな為、
「あのさぁ、この話は終わらないよ。お互いの思考と言葉の選び方の問題だから。個人的な問題になるから後で話しましょう。まだ話し合うべき事が残ってるし時間も無いし」
「いや、決めない限りこの話は終わらない。決めてくれ」
「…Lでいいですって。Mで小さいならLで行きましょう。Lで行きます。プランに上げます。これで良いですか?」
最後の一言が余分だったらしく、まだぐずぐず言っている。
「次の話に移らないと時間が無いですってば」
「お前とは後でゆっくり話そう」
「良いですよ」

後日、ストッパーたるべき二人から、「かなりやりあったんだって?」「その場に居たかったなぁ」と笑われる。
「どっちもどっちだよ全く」
うるさいわい。