老人の皮膚は薄い

不安のためにパニックになり、暴れる入居者A氏。
先日、トイレで便困のA氏を宥めつつ便意を促していた時、手の甲の親指側(合谷の辺り)を自分の親指で押さえてしまい、そしてA氏がその手を引いた。

ぶち

……いやーな音。いやーな感触。
まるで桃の皮を剥いた様に。
皮膚が裂けた。
すぐには血は出ず、一瞬何が起こったか解らなかった。

痛みは無いのかA氏は暴れることも無く、スプラッタな惨状は免れたけれど、看護士が居る時間で助かった。
ゴムに入った羊羹の如くそのままだと皮が捲れ上がってしまうので、皮を引っ張りつつ数箇所をテープで止めてガーゼ保護。
以降しばらく介助時に支障をきたす事となり、他ワーカーにも手数を掛けてしまう。
A氏のご家族に連絡を取るも不在。何度も電話をするがタイミングが合わない。

薄い薄いと言われてはいたが、自分が直接裂傷にまで至らしめたのは初めて。
もちろん厳重注意を受ける。
いつもなら下から支える形での介助を心掛けているのだが、A氏の動きを抑えるために力を込め過ぎた。
言い訳にはなりませんが。

にしても。皮膚の下ってつるんとしてて綺麗。
いやいやそうではなく…。