節分

昼食のメニューは太巻きと稲荷寿司。
昼食後、鬼が来るので豆を撒く。
オヤツ(撒き残った豆と甘納豆)を食べながら地域の方の歌を聞く。
な流れ。


ワーカーが下ごしらえした素材を、
自立独歩、意欲旺盛な入居者さんが巻いたり詰めたりして下さいます。

寿司巻き担当と油揚げ袋詰め担当をされているお二人は、
“本来は友達なんだけど、只今ケンカ中”であり、
“それぞれがプライドを大切にする人”なんだとか。
「どなたにどこで何をやって頂くかの振り分けも大切」との事。

“かぶりつき”ってのをやるのかと思ってたんだけど、「まさか!!ちゃんと切るよ」だそうで。・・・ちょっと残念。
「よく出来てるねー」「美味しく出来たね」と盛り上がる。
嚥下に難有りで、通常は白かゆの入居者さんも、かゆを食べつつ寿司も食べる。ガンガン食べる。
咀嚼に難有りで、寿司はサスガに提供できない入居者さんには、白かゆと、これでもかってくらいに細かく刻んだ具を御用意。
精進料理みたいにしたくて、盛り付けに悩んでたら他ワーカーに苦笑されてしまった。
結局、出来たものは“色別盛り合わせ”だったんだけど。

鬼は唯一の男性ワーカーの役目。
そうなんだよね、男性が居るとそうなるんだよね。
私はその時、お部屋から入居者さんを誘導してたんで直接は見られなかったんだけど、かなーり賑やかに声が揚がっていた。

一息ついて歌の会の準備。
“歌手”の一行も到着。「○○さん?」と声をかけられた。
「はいそうです」と答えたものの……誰だかわかりません
隣町の人らしい。「会ったのは貴方が小さい頃だったからねー」と仰って下さったけど…すみません。

でも、その“歌手”たる小父様は。見覚えあるぞーー、子供会の会長やってたろ。名前は覚えてないけど。
家が近所だと、こういうこ事も有りますな。

閑話休題

2階の入居者さんも集まっていらして、お互いに挨拶したりなさってる。まさに「老人会の集会」。
歌の会の団体さんが、カラオケセットと歌詞帳を用意して下さってたので、皆さんに配る。
早くも感涙に咽んでいらっしゃる方も居て。
始まる前からこれだと、始まったらどんなことになっちゃうのかと少々不安。(これは杞憂で、終始同じペースでいらしたです)

昭和の歌謡曲オンパレードが始まった。
司会役の方の名調子を間に挟み、気持ち良さそうに歌う“歌手”。
歌詞帳を見ながら歌う入居者さんの多い事といったら。
声が出てるか出てないか、歌詞が合ってるのかどうかはともかく、殆どの入居者さんの口が動いている。凄い。
観客席にもマイクが回る。自分のほうにも寄越せと催促が来る。マイクなんて要らないくらい大きな声で歌う方も居る。
歌には参加しない入居者さんも、「どんな歌お好き?やっぱり演歌?」「そうだねぇ」「北島三郎だ!」「いいねぇ。でもあの人の歌は難しいんだよな。」なんて、こちらの歌に関する話題には笑顔で答えて下さったり。

アンコールもあったりして、盛況のうちにお開き。
2階の入居者さんや歌の会の方々が“帰る”事に反応し、しばらくの間、「私はどこに帰ればいいのか。独りぼっちになってしまう」と不穏になられた入居者さんも居られたけど、周りがいつものメンバーになれば落ち着きを取り戻された。(夜勤帯はどうだったんだろうな)

机や椅子を戻したり、床を掃除したり。
16時にはもうすっかりいつもの風景に戻った。

落ちてる豆を拾って食べない様に目を光らせる必要も無い。
(放置された豆を入れ物ごと集める方は居るけど、特に食事制限も無いし、噛めるし飲み込めるので見守りでオッケー)
入浴も今日は希望者のみ。
とてものんびりした行事風景。

便失禁があった際、脱いでいただいた下着等を、思わずそのままトイレの外に持ち出そうとしちゃって、「ここは自分が居た特養じゃないぞ。気にする人ばっかりなんだぞ。」と踏みとどまった時、
「エライぞ自分」と思った。


余った豆は黄粉にする事に。
ミキサーで皮ごと砕いてみても、どうしても粗い粒も残ってしまう。
小分けにして茶漉しや揚げ物用の掬うやつ(名前知らない)で篩い分ける事になったんだけど、これが結構時間がかかるしメンドクサイ。
合間あいまの仕事になりそうだ。

ワーカーさんが行事中の写真を撮っていた。
毎月、機関紙の様な物を、ワーカーさんが手書きで作っているのだそうな。

入所時、
「写真を撮ってよいか」
「それを館内に掲示してよいか」
「毎月送付のお知らせに乗せてもよいか」
を、御家族に伺うのだそうです。

プライバシー保護に関してのお上からのお達しが厳しくなり、その確認が義務付けられたのだとか。

だから、勝手に撮っちゃいかんのですな。

御家族・地域と密着したお付き合いというのは、いろいろと大変なようです。