クリスマス会

何度も書くようだが、職員じゃない参加ってのは気楽で良い。
午前中は、入居者を交えてのケーキ作り。全体的に痴呆レベルも気力も落ちてきてるから、大半はワーカーが作った事はヒミツだ。
でも、拒否が強く気分のアップダウンも激しい入居者が、食材を見、包丁を持った途端に背筋が伸びて、まるで機械のように苺を薄切りにしていく様は、何度見ても感嘆してしまう。
体や染み込んだプロ意識とでも申しましょうか、さすが母親経験者。腐っても鯛(いやいや)。男性陣の興味的参加とは、何か根本的に違うものを感じる。

事前に作ったり持ち寄ったりしたリースなどが、やっと相応の出番とばかりに花を添えている。
クリスマスツリーに至っては、入居者のご家族からの寄付のお陰で6つも有るから、方々でチラチラキラキラしている。

午後は娯楽の時間。
課長の伝手だとかで、コーラス隊が来た。なんと太極拳の先生も居るじゃないか。多才な人だなぁ。
フローティングキャンドルの灯る中、賛美歌を主に照明を浴びておば様方が歌う。ヴァイオリンの生演奏付きである。素晴らしい。
自分が書いた歌詞表を使ってくださり、「さぁ、皆さんも」と誘うんだが、すっかりお客さんモードの入居者は反応が今ひとつ。
それでも歌に合わせて音楽療法用に作った手製マラカスを振ったり、手拍子を打ったりと、「特別な雰囲気」は楽しんでいただけているようだ。

入居者の娘さんのタップダンス披露。
ペンギンの着ぐるみを着(せられ)た課長や、ウサギやトナカイの着ぐるみを着たワーカーも慣れないながら地団駄ステップを踏む。
動きが地味でもありクリスマスとの関連性も薄い為、ステップの巧みさが感動に繋がらない入居者も多かったが、音楽が助けてくれた。

クリスマスといえばサンタ。
なんとホームの重鎮、おん年102歳の“長老”のお出ましである。
「衣装がツナギなんだよ。泣こうかと思っちゃったぜ」と更衣介助をした相談員ナベ氏が額の流れる汗を拭う。
当の長老は、そんなことお構いナシ。赤い帽子もよく似合い、笑顔を振り撒きながら入居者の握手に応えている。時に暴力的なほど愛想が良いから、サンタには打ってつけの逸材であった。
各ユニットを回りつつ、乾杯をし、ワーカーがプレゼントを配る。中身は靴下やタオル。
さっそく手にはめて頬擦りしたり、目の前のお茶入り湯のみに突っ込んだりと、各社様々な喜び方(?)を見せてくれた。もちろん、入居者間でのプレゼント交換もされてしまったりする(そしてお互い中身には興味が無い)。「机の上にあった」とワーカーに渡して下さったりもする。
乾杯用シャンペンのボトルを見てびっくり。アルコール度13%ぉ?ワイン並じゃねぇか。買って来たヤツ誰だよ。なんでこんなに本格的なんだよ。子供用がいくらでも売ってるだろーがっ。足元ふらついて転んでも知らんぞ。まぁ無事故でしたけど。

おやつは皆さんで作ったケーキ。
苺の大きさに固執する入居者が居、見た目を愛でる入居者が居。これも中々に盛り上がる。勿論ダイレクトに手づかみでいっちゃう人も居る。
大半は午前中のイベントは脳に残っていないから、純粋にケーキが食べられる事を喜んでいる。
嘆くパートさんも居たけれど、い〜じゃないか、い〜じゃないか、楽しいならそれで。関連性なんかわからなくったってさ。

夜への影響も加味し、尻つぼみな構成が通例。逢う魔が時に盛り上がると、夜勤が泣く羽目になるからね。
まぁそれでもテンション型徘徊組(そんな用語はアリマセン)は盛り上がってしまったわけですが。
明日からは新年へ向けての準備が始まる。
巷のディスプレイ関係もそうだろうが、年末のこの時期は一番入れ替えが忙しく、日の経つのが早い。
パートさん達はそれぞれの家庭を大事にしていただくから人手も少ないしね。
「お前も暇だろ。手伝いに来ていいぞ」とありがたーいお言葉を頂く。今年の年末は、寂しくなくてすみそうだ。