【音楽療法】10月:療法っていうより、音楽ボランティアだろ。

まぁ、あまり変わらないんだが。プロでは無くて今回が初挑戦のグループらしい。

季節柄の童謡・唱歌と昔の流行り歌。歌詞を写していて思ったのだが、
この選曲の意図はなんだ?不穏にさせることか?泣かせたいのか?
『荒城の月』『ふるさと』『夕焼け小焼け』『案山子』『月』『リンゴの唄』『船頭小唄』。全てにではないが、ナーバス発動の怖れがあるスイッチ言語が多すぎる。2〜3番まで歌うんだろ。レベル様々で20人以上参加するんだぞ。

『ふるさと』?“忘れがたき 故郷”“如何に在ます父母 つつがなしや友がき”“いつの日にか 帰らん”。郷愁・望郷は外から与えなくても充分すぎるほどだと思うがな。
『夕焼け小焼け』? あぁ、帰ろう帰ろうっていう不穏刻の歌ね。
『案山子』? あぁ、“歩けないのか”とか、“耳が無いのか”とか言うやつな。
『船頭小唄』?“花の咲かない 枯れ芒”。認めさせてどうすんだよ。

なぜもっと無難な歌を選ばない。ここを何処だと思ってるんだ
『もみじ』とか、『七つの子』とか、『とんぼのめがね』とか、『箱根の山』『村祭り』とかさぁ。音域だって音の上下だってこの選曲とは大差無いだろ?ホーム内の流行の中からなら『湯島の白梅』。
確かに耳慣れた歌ばかりだし、その歌を自発的に歌ってる入居者も居るさ(帰宅欲等の表出だけど)。他人が無難と思う言葉でも本人にしたら辛い記憶に繋がる場合だってある。逆もあるだろうけど。
細かい事を言っていたら歌える曲なんて無くなっちまうが、もう少し何とかならないのかと、歌詞を書き写しながら溜息を付いてしまった。

マイナス因子をすべて排除すべきだとは言わない。記憶喚起になる、刺激になると言われれば頷くしかないけれど、知らなくていいこと、思い出さなくていいことは、そっとしておきたい。老い先が短いんだから、敢えて暗い気分にさせることは無い。と言いたかった。
「もしかしたら、悪意でもあるのか」と半ば本気で尋ねたら、「先生だって考えてた上での選曲なんだろうから」とナベ氏。選ぶにあたって相談や話し合いは無かったのだろうか。好意で来てくれる“先生”だから全てお任せで、口を挟むべきではないのだろうか。
ホームでレクの時に使っている歌集がある。その中からもう少し取って欲しかった。

歌詞の内容を気にせず、キーワードだけを抜き聞いて不穏になることもなく、「懐かしいね」「この歌なら知ってるよ」「皆で歌うのも楽しいね」って参加者が全員 笑顔で過ごし、のどかな雰囲気のまま夜を向かえる事を切に切に祈る、本番二日前の今日。杞憂でありますように。