頭を使わないと錆びますな

昼食の下膳時、足元の不安定な入居者A氏が自力で運ぼうとしているトレイにカップが乗っていて、それだけは降ろしてくれと言いたかったんだが、“カップ”“降ろす”の単語がどうしても出て来ず。
「あのほら、それそれそれ。あーもぅ。それなんだよ、それをよぅ、テーブルにあれだ、あーもう、下、下。」と言うも、伝わるはずも無く。「何よ。何なの」と不安にさせてしまう始末。
両手は他入居者の膳で塞がっている為に差し示す事もできず。
とうとう一緒に並んで歩いたままカウンターに着いてしまった。

言葉が詰まり、電文体じみた話し方が多くなったり、聴き取りも言葉は文字で浮かぶんだけど意味が理解できなかったり、
なにやら軽い運動性失語状態が加速している気がする。
脳梗塞の後遺症による正真正銘の運動性失語症な入居者B氏から、なぐさめてもらったりしている今日この頃。
上記のドタバタを見ていたB氏は大爆笑していた。
楽しんでいただけたのは有り難いが、笑い事じゃ無ぇんだよまったくなぁ。

「↑こんなだった」とナベ氏に話したところ、
「お前が本格的な(…おい?)痴呆になったら、手が付けられないな」
と言われてしまう。
「テンションはバラバラ 他の奴とのコミュニケーションは嫌う、飯は食わねぇ 夜は寝ねぇ 指示は入んねぇ 言ってる事は解んねぇじゃぁもう、どうしようも無ぇじゃん」
それでいて言う事は達者でな。と続ける。
「お前らの考えてる事はお見通しなんだよぉ」とか、「腹の中で何考えてるかなんてちゃんと解ってんだからな」とか、そういう事だけはスラスラ言われた日にゃぁ、ぶん殴りたくなるぜ。
とや。


うーん。否定できない。