チームワークとは何ぞや

「チームワークって何ですかね」
夜勤明け、対ユニットの職員I氏に聞いてみた。
朝の申し送りが終わって勤務時間終了。残務も片付いて夜勤が一息付く時間。
ステーションにはナベ氏も居た。

ヘルパー時代、協会に入ってケース会議に出席した時、初めて他ヘルパーの仕事の仕方を知ったと。
自分が我流でやってきた事を思い知らされたと話す。
自分はこれがベスト。良かれと思ってやっていた事が後にフォロー困難であったり、考えも付かなかったやり方があったり。
情報交換や意見交流をする事で、視野が広がり意識が変わり、大変参考になり成長したと。
一人ではやる事も考える事も限界があるし偏りもある。互いに“気付き”を見つける・持つ為のシステムだと。

話が一区切りつき、上を向いて固まってしまった自分を見てI氏が「わかりにくいかな?」と尋ねる。
「いや、咀嚼中で…」

ナベ氏が自分の肩をポンと叩く。
「あのな」
とナベ氏。お前この前さ、と職務中に自分が直接関わった事例を一つ挙げる。
「そういうのがチームワークなんだよ」

些細なヒトコマだった。が、目の前にあった壁に、突然ぽこっと穴が開いた。その先には“チームワーク”の概念。
自分はほんとに自分の触ったものでしか納得ができないんだなと痛感した。想像力が皆無だなぁ。

報告や連絡もそう、カンファもそう。一人じゃ全部は賄えないから行う事。
洗濯だって自分の勤務中じゃ終わらない。
自分の尻ぬぐいを自分で出来ない環境なんだ。

「チームワークってのは、『横並びで協力する事』なんですね?」
「…ぅん、まぁ、そうかな」とI氏。
ひとつひとつ、叩いてたたいてしながら進むんだなお前は。とナベ氏は笑う。

確かめながらじゃないと怖いのかもしれない。どんな物の上に自分が乗っているのか。どんな処に自分が居るのか。
慎重なのではなくて、単に臆病だからなんだが。